絵を描くはじめ  
上野の森美術館ギャラリー(東京)
2014年7月8日(火)〜14日(月)



昨今、絵を観ながらよく思う。多くの画家は、単に絵を描いているだけではないか?巧みに絵作りをしているだけではないか?だからだろうか、一点一点に考えを巡らすことがなかなか出来ない。
そこで、画家たちに問いたい。いま、何故絵を描くのか?いま、何を目の前にし、何を考えているのか?
そうして、いま、描くべきものとはなんなのか?画家が絵を描くということ。ひとが何かを表現しようというのは、そうした日々の衝動の経験を具現化ではないか?だからこそ、それを見る者たちと“いま”を分かち合うことが出来る。そんな問いに対し、5名の画家・イラストレターが応えてくれた。そうして提出されたのが、各々が絵作り以前に、直接的かつ愚直に、“いま”の自分自身の現実、等身大の現実を大画面に投げ出し、刻みつけたような大型エスキースだ。それは絵画作品というよりも、「絵を描くはじめ」の画家たちの揺れる心情の証と言っていいかもしれない。そして、こうした初心な表現と対峙するとき、画家たちへの問が自分自身に帰ってくることに気付く。お前こそ、本当に絵を観ているのか?そこから、真剣に何かを考えようとしているのか?画家たちと共有できる“いま”とは何なのか?それを自身の言葉にする自信があるのか?
生の絵に生の言葉。いま、私たちが求めているのは、そんな朴訥と明快な“いま”への共感だ。

藤田一人(美術ジャーナリスト)

×